- AYA ISOHATA
【エッセイ04】85

今日は8月5日で発酵の日である。
発酵の世界に魅了されてから、「発酵」というワードはもちろん
「微生物」「カビ」「酵母」というワードにものすごく反応するようになった。
ネット記事などでも「カビ…」という文字が見えると、なになにと読む。
だいたいが「梅雨時に困るカビ対策!」のように発酵と無関係なことがほとんどで、
なぁんだ。と思いつつも、醤油も味噌もカビがいないとできないんだよなぁ。
と発酵方向に考えが飛んでしまう。
お風呂にできるピンクのぬめりも、実は酵母だということを知ってからは憎さが減った。
「これもある意味、天然酵母だなぁ。食用じゃないけど。」と心でつぶやき、
掃除するのである。
私が発酵の世界に魅了されるのは、
こうした微生物とそれを活かそうとした人間が不思議すぎるからだ。
人間の目に見えない世界で繰り広げられる微生物の活動。
微生物達は何も人間の為に活動しているわけではなく、自分たちの繁殖の為に活動している。
だがしかし、人間は気づく。
なんかよくわからないけどおいしいもんができるぞ、と。
その探求心がものすごいことになり、醸造技術が確立していくことにつながる。
今でこそ、微生物のチカラによるものだとわかっているが
最初は発酵と腐敗の微妙な差で、お腹を壊した人もたくさんいるんじゃないかと思う。
世界中に研究者とチャレンジャーがいたから、今私達は安心して発酵食品を楽しめるのである。
微生物も生き物であるから、それぞれ得意不得意があるし特徴がある。
それを知ると頭の中で擬人化してしまい、醸造微生物がかわいく思えてきてしまう。
蔵の木桶に入る醤油などを見ると、頑張って働いているんだろうなぁと妄想。
野菜などに生える好ましくないカビでも、全力では憎めなくなってしまった。
「いやぁ~、どーも。」と生えているカビを見て
「環境を整えてしまったか…」と思うのである。
そして「ベイビー(胞子)を飛ばすなよ…。」とそっと包み、さよならする。
微生物のことを知ると、更に発酵がおもしろくなる。
それと同時に、目に見えない微生物を日々相手にしている職人さんに対して
感謝と尊敬の念を抱くのである。
外出する時は必ず本を1冊は持ち歩いていて、
最近のお供(本)は『微生物の科学(B&Tブックス)』。
家で漫画を読むならば『もやしもん』。
毎日が発酵の日です。